法人成りという言葉は、良く耳にすると思いますが、個人成りという言葉もあるのをご存じでしょうか?個人事業者になって、身軽に!楽しく!事業をしたい・・・でもちょっと待って下さい。「今日で会社はおしまい!」とはいきません。
それには一定の手続きが必要です。法律は個人事業者を「法人事業者の簡略版」と位置付けしているわけではありません。まれに「個人成り=法人の債務免除」とお考えの社長さんがおられます。そんなに甘くないことを肝に銘じて下さい。
個人成りする方法としては、法人を消滅させてしまう「解散・清算」、機能を停止させてしまう「休眠」の二通りがあります。今回は、「解散・清算」について見て行きましょう。
1.解散とは
会社を設立したときに法務局で「設立の登記」を行ったかと思います。同じように会社を消滅させるときにも登記が必要です。まずは、「解散の登記」を行い以後は営業活動を停止し、会社の資産を換金し、負債がある場合は返済するという「清算作業」を行わなければなりません。そして、財産が残った場合はそれを株主に分配してはじめて「清算結了の登記」を行え会社が消滅します。これを行うには登記費用がかかります。しかし、完全に消滅させたい場合にはこの方法しかありません。
2.清算までの手続き
解散した会社は営業活動を行うことはできず、清算に向けての活動しかできません。清算手続中の会社は「清算人」が管理運営します。通常、清算人には営業活動をしていたときの代表取締役が就任します。なお、解散した時点で事業そのものは個人へ移転させておく必要があります。
3.事業用資産の売却方法
個人成りの場合、会社から個人(会社の役員)へ全ての事業用資産を売却する必要があります。備品、機械、車両等を通常の時価で個人へ売却し代金相当を会社に支払わなければなりません。その後、事業用資産を個人事業用に活用します。
4.財産が残った場合
会社のオーナーである株主に分配します。なお、残余財産が資本金を上回る場合は、清算所得として法人税・住民税が課税されます。清算所得はいまだ課税されていない含み益(今まで稼いだ利益)だからです。
5.税金の滞納や借金がある場合
税金その他の租税公課については、税務署等の役所、借入金については金融機関にご相談下さい。会社を消滅させるから「棒引き」というわけにはいきません。交渉は相当難航するでしょう。負債の返済が不可能な場合は法的手段(破産、民事再生等)に移行するしかありません。なお、これにも費用(主に弁護士費用)がかかります。
支払項目
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作成または保存書類
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記載内容
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電車賃またはタクシー代
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交通費明細書の作成
日報などの作成
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・金額 ・交通手段
・どこからどこまで
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自動販売機での購入
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メモまたは伝票の作成
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・金額 ・どこで買ったか
・誰に渡したか
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慶弔費
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メモまたは伝票の作成
招待状、案内状、礼状等の保存
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・金額 ・誰に(住所・氏名)
・内容または目的
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領収書がもらえない接待交際費
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メモまたは伝票の作成
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・金額 ・接待相手(住所・氏名)
・支払先
・接待の目的
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領収書を紛失した場合
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メモまたは伝票の作成
支払がわかる関係書類の保存
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・金額 ・支払先
・内容または明細
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