羽の情報便61   震災に対する租税の減免措置等

震災により、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で、所得税法の雑損控除災害減免法による軽減免除による
方法のいずれか有利な方法を選ぶことにより、所得税の全部または一部を軽減することができます。

今回の東日本大震災で被災者が所得税の減免の適用を受けるためには、本来ならば、
2011年分の所得税の確定申告において
対応することになります。

しかし、申告期限が延長されることになったため、納税者の選択により
2010年分の申告においても減免措置が適用される方向で、
検討が進められている模様です。

なお、
1995年の阪神淡路大震災の際には、1994年分の所得税の確定申告において、減免措置が適用されました。

今回は、雑損控除についてご説明します。
 

■所得税法の雑損控除

雑損控除とは、災害などにより、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。
雑損控除の対象になる資産などの要件は以下の通りです。

 <資産の所有者>

  納税者あるいは納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の方。

 <対象資産>

  生活に通常必要な住宅、家具、衣類など事業用の資産や別荘、書画、骨とう、貴金属等で1個または1組の価額
  が
30万円を超えるものなどは対象外です。

 <控除できる金額>

  次の二つのうちいずれか多い方の金額。
 
   (1) (差引損失額)(総所得金額等)×10  
   (2) (差引損失額のうち災害関連支出の金額)5万円

損失額がその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から
控除することができます。

雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。

差引損失額の計算●

差引損失額 損害金額(1)+災害関連支出の金額(2)−保険金などにより補填される金額(3)

    ※1  損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額

    2 災害により滅失した住宅、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額など

    ※3  災害などに関して受け取った保険るために支出した金額など

雑損控除を受けるためには、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害関連支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示します。

給与所得がある場合には、このほかに給与所得の源泉徴収票
(原本)を申告書に添付します 

支払項目

作成または保存書類

記載内容

電車賃またはタクシー代

交通費明細書の作成
日報などの作成

・金額   ・交通手段

・どこからどこまで

自動販売機での購入

メモまたは伝票の作成

・金額   ・どこで買ったか
・誰に渡したか

慶弔費

メモまたは伝票の作成
招待状、案内状、礼状等の保存

・金額   ・誰に(住所・氏名)

・内容または目的

領収書がもらえない接待交際費

メモまたは伝票の作成

・金額   ・接待相手(住所・氏名)
・支払先 
  ・接待の目的

領収書を紛失した場合

メモまたは伝票の作成
支払がわかる関係書類の保存

・金額   ・支払先
・内容または明細


ウィンドウを閉じる