平成23年度税制改正法案と、東日本大震災の復興財源確保に係る特別措置法案が、公布・施行されました。前号に続きまして、その主な項目についてご説明します。
1.欠損金の繰越控除
欠損金の繰越控除制度とは、青色申告書を提出した事業年度の欠損金、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失及び連結欠損金の繰越控除制度を言います。
(1)青色欠損金の繰越控除制度及び災害損失金の繰越控除制度における控除限度額が、その繰越控除をする事業年度の繰越控除前の所得金額の80%相当額とされ、連結欠損金の繰越控除制度における控除限度額が、その繰越控除をする連結事業年度の繰越控除前の連結所得金額の80%相当額とされます。(中小法人等については、現行通り控除限度額に制限はありません。)この改正は、平成24年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
(2)青色欠損金、災害損失金及び連結欠損金の繰越期間が現行の7年から9年に延長されます。(その欠損金が生じた事業年度の帳簿書類の保存が適用要件とされます。)この改正は、平成20年4月1日以後に終了した事業年度において生じた欠損金について適用されます。
2.更正の請求
更正の請求とは、申告所得額が過大であった場合等に、納税者がその修正を求める手続きを言います。
その納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」の期間(改正前1年)が5年に延長され、併せて、課税庁が増額更正できる期間(改正前3年のもの)が5年に延長され、これにより基本的に、納税者による修正申告・更正の請求、課税庁による増額更正・減額更正の期間が全て一致されることとなります。
但し、贈与税及び移転価格税制に係る法人税に係る更正の請求期間(改正前1年)については6年に、法人税の欠損金に係る更正の請求期間(改正前1年)については9年にそれぞれ延長され、脱税の場合の課税庁による増額更正期間は、現行どおり7年となります。
これらの改正は、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税について適用されますが、平成23年12月2日前に法定申告期限が到来し、更正の請求期間を過ぎた国税については、「更正の申出書」(提出期限はそれぞれ法定申告期限から、所得税:3年以内、法人税:5年以内(原則)、相続税:3年以内、贈与税:6年以内、消費税:3年以内)を提出することができることとされました。
支払項目
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作成または保存書類
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記載内容
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電車賃またはタクシー代
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交通費明細書の作成
日報などの作成
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・金額 ・交通手段
・どこからどこまで
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自動販売機での購入
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メモまたは伝票の作成
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・金額 ・どこで買ったか
・誰に渡したか
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慶弔費
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メモまたは伝票の作成
招待状、案内状、礼状等の保存
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・金額 ・誰に(住所・氏名)
・内容または目的
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領収書がもらえない接待交際費
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メモまたは伝票の作成
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・金額 ・接待相手(住所・氏名)
・支払先
・接待の目的
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領収書を紛失した場合
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メモまたは伝票の作成
支払がわかる関係書類の保存
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・金額 ・支払先
・内容または明細
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